お取り寄せで再会した、
ムチムチじゅわじゅわ大あなご中川めぐみ
一般社団法人ウオー代表理事・釣りアンバサダー
「釣りアンバサダー」「漁業ライター」。一風変わった肩書をもつ私は、仕事で日本各地の漁港を訪れます。仕事の内容は、釣り・漁業を題材にした観光企画やPR、漁業者さん・海産物の取材など。
コロナ前は年100回という漁師も驚く頻度で各地の船に乗っており、「お取り寄せ」の経験はほとんどありませんでした。なにせ、自宅でゆっくり食事をすること自体が稀だったのです。
しかしコロナ禍によって移動が制限され、仕事の多くがオンラインに。
自宅で過ごす時間が増えて体力的には楽になったのですが、禁断症状のように湧いてくるようになりました……「海に出たい!」「漁師さんに会いたい!!」「美味しい海産物が食べたい!!!」という欲求が。
自宅近くにお気に入りの魚屋さんはあるものの、それでも物足りない時があります。「○○県産」といった産地情報もありがたいのですが、もう一声。「○○さんが獲った」「○○店が作った」というバイネームと共に、「どんなこだわり・想いを込めているか」というストーリーまで味わいたい。いろいろな意味で”濃い食材”を求める時があるのです。

天然大あなごの一夜干し 4袋
¥3,996(税込)
カートに入れる
そんな折にご縁をいただいたのが「文春マルシェ」。サイトを覗いてみると、厳選した商品が一品ずつ丁寧に扱われているのを感じました。自分たちで実際に食べた時の感動や生産者さんのこだわりが、手触り感のある文章と写真で表現されており、ストーリーが感じられたのです。
なかでも目を引いたのが、「天然大あなご一夜干し」。なんとコロナ前に現地まで取材にお邪魔させていただいた加工屋さんの品との再会でした。
生産地は島根県大田市。早朝に出漁し、日中漁をして夕方帰港する「一日漁」によって、鮮度抜群の海産物が集まる地域です。こちらで人気なのが大あなご。その名の通りサイズが大きいのが特長で、地元の飲食店では“器からはみ出る巨大あなご丼”などが食べられます。
そんな大あなごの加工を得意とするのが、私も取材でお世話になった岡富商店さん。港からすぐの場所に鮮魚店と加工場をもち、獲れたての穴子を職人さんたちが1本ずつ手で開いています。開いた身は、濃度の低い塩水にゆっくり漬けた後、一夜干しに。こうすることで、しょっぱくない、旨味の凝縮された品になるそうです。
この「大あなごの一夜干し」を加工場の隣で炙っていただいたのですが、その食感と旨味に感動! 案内してくださった方の分まで完食した記憶が蘇り、お取り寄せさせていただきました。
数日後、自宅で大あなごと再会。相変わらずの立派な身に、テンションが上がります。食べやすいサイズに切って、ホットプレートで焼くことに。徐々に身が縮まり、端がくるんと丸まっていきます。香ばしい香りによだれが湧きますが、じっと我慢。余分な水分が浮き出て、皮目がカリッとするまで耐えるのです。そうして仕上げに身側も軽く焼いたら、出来上がり。
箸先から弾力が伝わる立派な身を口の中へ放り込み、ひと噛みした瞬間、帰ってきました。あの時の感動が!
驚くほどにムチムチ、ぷりっぷりの皮目。噛むほどに旨味のエキスがじゅわじゅわ溢れてくる、ほくほくの身。
「穴子って、こんなに美味しいんですか!?」と夢中で貪った、あの時の美味しさでした。
いつも生産地で美味しい海産物をいただいていたので、正直、進んで「お取り寄せ」をしようと思ったことはありませんでした。しかしいざ体験してみると、そのレベルの高さにびっくり。しかもストーリーまできちんと楽しめたことに感動です。
コロナによって移動が制限されたことだけでなく、それ以前から大好きな生産地が増えすぎて、同じ場所へ何度も通うのが難しくなっていた私。これからは「現地」と「お取り寄せ」のハイブリッドも良いなと、考えを改める機会となりました。
そうすると私の推し漁師(アイドルの「推し」のように、特にお気に入りの海産物を生産してくれる漁師さんを「推し漁師」と呼んでいます)の品を、文春マルシェで扱っていただかなくては…。大あなごを頬張りながら、そんな野望を抱くのでした。
中川めぐみ一般社団法人ウオー代表理事・釣りアンバサダー
ITベンチャーや広告代理店で新規事業の立ち上げ・広報の仕事に従事し、2018年から「釣り・漁業×地域活性」事業で独立。
各地の自治体や企業と共に、観光コンテンツ企画やPRに携わる。漁業ライターとして複数メディアでも執筆。 水産庁 水産政策審議会委員・水産女子メンバー、環境省 中央環境審議会委員。